シティポップはなぜ海外でウケるのか? …人気の理由に迫る①

『知らない時代へのノスタルジー』

シティポップ(日本の80年代ポップス)が海外でリバイバルしている。勿論チャート上位にランクインする訳ではないが、youtubeでの再生数などを見る限り、40年もの時を経て新リスナーを相当数、しかも海外で獲得しているとは驚きである。今回は、このシティポップ現象がなぜ起こったのか、その理由について考えてみたい。

・シティポップ現象

まずは、シティポップ現象の事例から。そのアイコンは Plastic love(竹内まりや)。1984年の曲なのに、なんと再生数は現在2000万回を越えている。さらに、youtubeのコメント欄を覗くと、その8割方は外国語のコメントなのだ。

Mariya Takeuchi Plastic Love

↑(海外のコメントは、すぐ上の下線付きリンクをクリックして、下にスクロールすれば見られます。)

※上の動画はなんと削除されてしまいました。その後の経過と新しい動画については、「削除(続報!)」の記事を参照して下さい。

※そして復活!上の動画をクリックで、見られるようになりました。コメント欄も健在で嬉しい限りです。また、当ブログでは「Plastic love」のベースラインの魅力についても記事を加えました→こちらへ

竹内まりやから派生して、夫の山下達郎は勿論、大貫妙子、亜蘭知子、間宮貴子、大橋純子、佐藤博、などが人気を博している。さらに各アーチストのyoutube動画のタイトルが英語であれば、そのコメント欄は外国語で溢れている。シティポップのラジオ放送まである。

City Pop RADIO

↑(すぐ上の下線付きリンクをクリック後、画面下の上位チャットを押せば、ラジオを聴いている人達のリアルタイムのチャットが見られます。勿論ほとんどが外国語です。)

※こちらの動画も削除されてしまいました。コメント欄を見ると、現リスナーのリアルタイムな反応が書かれており、非常に興味深かっただけに残念です。

・シティポップの定義

では、シティポップに該当する音楽とは何か?シティポップを規定する要素は概ね以下のものであろう。

(時代) 70年代後半から80年代にかけて

(音楽性) AOR、R&B、ジャズ、フュージョンをベースにした、都会的で洗練されたもの

(背景) 経済成長の只中。マイカーと共にカーステレオが普及。

当時はジャンルとしてのシティポップという用語は、おそらくなかったはず。当時ニューミュージックと呼ばれていたジャンルが、概ねシティポップに該当するのではないだろうか。

・なぜ、シティポップが海外で注目されたのか

まず大前提としてインターネット(とりわけyoutube)の存在がある。今まで英語圏やラテン語圏などの人々の耳に触れることがなかった日本語の曲に、容易にアクセスできるようになった。また、2000年代に入りvaporwaveというジャンルが産まれ、そこで日本の80年代ポップスがサンプリングネタとなったことも理由の一つだろう。それらは断片的なアニメ映像とともに紹介されて人気を博し、結果的にネタ元の曲に注目が集まったというわけだ。

それにしてもなぜここまで注目を集めているのか?その理由が気になってしまうのだ。

ここでyoutubeのコメント欄に目をやると、あることに気づく。こんなコメントをよく目にするのだ。

・一度も行ったことのない国へのノスタルジーを感じる。

・自分が過ごしたことのない時代へのノスタルジーを感じる。

キーワードはノスタルジー。だがノスタルジーは普通、自分が経験した過去に対して感じるものであろう。とすれば、上記のコメントは不思議なものであり、ここにリバイバルの秘密が隠されているかもしれない。

次回は、この不思議なノスタルジーをさらに分析して、シティポップ・リバイバルの理由に迫りたい。

お気軽にコメントを↓

“シティポップはなぜ海外でウケるのか? …人気の理由に迫る①” への2件の返信

    1. コメント有難うございます。

      35年ぶりに世を席巻していますね。曲の良さはもちろんですが、インターネットのおかげで、不思議な時代になったなとも感じています。

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